磐梯山の主峰大磐梯の山頂(標高1,816m)から北東に1.5kmに櫛ヶ峰の山頂(1,636m)が、東南東1.5kmに赤埴山の山頂(1,430m)がある。
櫛ヶ峰は古磐梯火山を構成していた山体で、山頂部には今から20数万年前に噴出した溶岩が見られる。細長い尾根もつことからこの名が付いたと考えられる(写真1)。
赤埴山は、櫛ヶ峰と同じく古磐梯火山を構成していた山体で、植生に覆われた比較的なだらかな山容を見せている(写真2)。赤埴山の斜面や山麓には、赤埴山(赤土の山という意味)という名が示すような、鉄分が酸化し赤紫色に風化した火山噴出物がしばしば見られる(写真3)。
櫛ヶ峰、赤埴山そして大磐梯に囲まれた位置に、長径約500mの低地(標高約1,400m)があり、沼ノ平と呼ばれている(写真4)。その名のとおり、降水量が多い時期には沼が生じる。 沼ノ平は、約2500年前に大磐梯東側の山体崩壊(※1)によって生じた爆裂カルデラ内の低地と考えられており、その時発生した岩なだれ(※2)(琵琶沢岩なだれ)が東方に流れ、琵琶沢を通って山麓に達した。
※1 山体崩壊・・・大規模火山などの脆弱な地質の山体の一部が、地震動や噴火などで大規模な崩壊を起こす現象。
※2 岩なだれ・・・大規模かつ高速で起こる山体の崩壊現象。破壊された大小の岩が、マグマを含まず、水もほとんど含まれない状態で流れ下る。岩なだれの堆積地域では、流れ山(起伏のある丘陵)が形成される。岩屑なだれとも言う。