国指定重要文化財 福島県迎賓館(旧高松宮翁島別邸)

有栖川宮威仁(ありすがわのみやたけひと)親王により1908(明治41)年8月に建設された天鏡閣の向かい側に、1922(大正11)年に建設されたのが迎賓館である。これは夫人の慰子(やすこ)様の保養のためのものである。迎賓館が作られる時には、既に有栖川宮威仁親王は亡くなられ、天鏡閣は高松宮宣仁親王に引き継がれていた。高松宮宣仁(たかまつのみやのぶひと)親王の夫人の喜久子様の母方の祖母に当たるのが、慰子様であったことによる。高松宮宣仁親王は慰子様を気遣われ、御用地内で猪苗代湖を南東面にひらき、磐梯山を北面に望む天鏡閣の南東位300mの一段低い景勝の地を御選定され、自然石を基礎とし自然の景観を庭園に見立てた純日本風のたたずまいを有する御別邸を1年余の歳月をかけて完成させた。

慰子様は完成した別邸で1922(大正11)年の3ヶ月あまりを御静養されたが、翌年6月29日に60歳で逝去された。そのため、伏見宮(ふしみのみや)家・閑院宮(かんいんのみや)家・桂宮(かつらのみや)家を称した宮家と並ぶ、四親王家の名門・有栖川宮家は、江戸時代初期に創立されたその歴史に幕を閉じた。

その後は天鏡閣と共に離れの日本館として、昭和天皇・今上(きんじょう)天皇をはじめ多くの皇族を迎え入れ、皇室歴史に深く関わり現在に至っている。

旧高松宮翁島別邸は、洋風建築別邸(天鏡閣)と共に、教育・文化の興隆に活躍する趣意のもと、1952(昭和27)年12月、高松宮殿下より福島県に御下賜され、福島県迎賓館として今日に至っている。建物の建築構造は入念にして堅実、その意匠は洗練され、建築史的・文化史的にも貴重なものであることから、1999(平成11)年5月に国の重要文化財に指定された。

■住所/〒969-3285福島県耶麻郡猪苗代町大字翁沢字畑田1072-4
■TEL/0242-65-2811(天鏡閣事務所)
■開園日時/庭園の観覧期間(5月1日~10月31日)9:00-16:00
館内の見学は期間限定で特別公開を実施(要確認)
■料金/無料
■交通機関/磐越自動車道 猪苗代磐梯高原ICから車で約15分
■URL/https://www.tif.ne.jp/geihinkan/